2007年7月15日日曜日

千代の寿

2007/7/15 御殿場市市民会館ホール

宮城道雄作曲 桜居女作歌

筝 矢部美保子 羽冨順子 岩田裕子 
三絃 柿木原こう 松田秀佳 山田天留美 平間佐知
尺八 勝又鍾算山 杉山瓢太

ひとりひとりの技量がどうこうというより、団体戦・・というか合奏の楽しさが味わえた。
旋律がはっきりしてて、素人である僕にもわかりやすく、お目出度い気分にしてくれた。

八重衣

2007/7/15 御殿場市市民会館ホール

石川勾当 作曲 八重崎検校筝手付

筝 中田久美子
三絃 金津千重子
尺八 秦瓢山

先日、レコードで聞いたが、今回はステージで。

レコードの大御所と比べるのは酷な話なんだろうが、なんとなくぼやけてしまっている印象は、ぬぐえない。
当日は、台風襲来もあり、湿度は異様に高かったことも影響しているのだろうか?

もちろん、生音であることの有利さや面白さはあって、たぶん、事前に、レコードで聞いていなければ、これはこれで楽しめたのだろうと思う。

水の変態

2007/7/15 御殿場市市民会館ホール

宮城道雄作曲

筝本手 中田久美子
筝替手 金津千重子

最初にタイトルを聞いたとき、プールや海に出没する変質者をイメージした。自分の知性の程度が露呈してしまったのだが。

水が流れ、様がうつろい変化する「変態」を曲にした。
明治42年のころの高等小学校の読本には、「水の変態」というのが、あったらしい。
弟がその読本を読んでいるのを聞いた宮城道雄は、14歳にて作曲したという。
天才だわな・・。

琴二面を用いた今回のステージは、とんでもない迫力で演奏された。
洋楽で、ドラムのソロで、観客が拍手をして盛り上げたりしているが、それぐらいやってもいいんじゃない?と思ってしまった。

お琴の演奏というと、優雅とか、静かとか、ゆったりという一般のイメージを持ちやすいが、そんなものふっ飛んでしまう。

専門的なテクニックや技量の良し悪しは語れる立場ではないが、非常に楽しめる曲。
ただ・・下手な人がこれをひくと、きっと曲にはなっても、面白みはないんだろうなあ・・と思える曲だ。

2007年7月1日日曜日

八重衣

松尾恵子 三絃 唄
小橋幹子 筝

生田流日本古曲全集

難曲の誉れ高し。
石川勾当の作品だが、作曲したはいいいものの、「こんな難しい曲なんて、弾けるわけ無いじゃん」と演奏家達からボイコットされる。そこで宮原検校が「できね~のかあ、八重崎もたいしたことね~な」」とたきつけて、八重崎検校が、手をつけて、今にまで生き残っている曲。
検校とか、勾当というのは役職名。検校-別当-勾当-座頭の順番。自分たちより身分の低い奴が作った曲が難しいなんて認めたくないだろうなあ。まさに闇に葬りさられようとしていた。
さて、一番偉いのは、石川か八重崎か。あるいは宮原か。

曲の歌詞だが、「衣」を詠われている和歌5首。意味と全文は、尺八演奏家の山戸朋盟氏のHPで解説しているので、本記事では省略する。->八重衣歌詞解説

とにかく難しい曲。「お稽古初めて5年ですう」なんて人が、「やりたい」とか言うと、まっとうな先生だと「10年早い!」と蹴飛ばされる。そりゃそうだよね、昔プロからボイコットされるくらいなんだから。

この録音を演奏しているお二方ともに、現役を退き評価の定まった演奏家。生田・宮城の流れでは、バイブルというか、パイロット・プレイ、目標としての組み合わせ。

三味線と琴のカラミがすさまじい。津軽三味線のような荒々しい速さ、勢いではないが、その動きは繊細でありながら、けして留まらない。圧巻。尺八のない演奏なので、尚、その凄さが際立つ。
九州系の流派の八重衣だと、三味線の凄さが聴きどころらしいが、この演奏では、琴が、(いい意味で)とんでもないことになっている。
専門家に言わせると、この演奏は生田の中でも、「宮城」の特徴がよく出ている弾き方だそうです。

もはや、かなわぬ夢だが、この2人の組み合わせ、ライブで聴いてみたいもんだった。そう、ライブ、演奏会。お座敷で聞きたくはないな。

演奏会で上梓される方への聴くだけの素人からの希望。うちのめしていただきたいと思っております。どうぞよろしく。