2007年7月1日日曜日

八重衣

松尾恵子 三絃 唄
小橋幹子 筝

生田流日本古曲全集

難曲の誉れ高し。
石川勾当の作品だが、作曲したはいいいものの、「こんな難しい曲なんて、弾けるわけ無いじゃん」と演奏家達からボイコットされる。そこで宮原検校が「できね~のかあ、八重崎もたいしたことね~な」」とたきつけて、八重崎検校が、手をつけて、今にまで生き残っている曲。
検校とか、勾当というのは役職名。検校-別当-勾当-座頭の順番。自分たちより身分の低い奴が作った曲が難しいなんて認めたくないだろうなあ。まさに闇に葬りさられようとしていた。
さて、一番偉いのは、石川か八重崎か。あるいは宮原か。

曲の歌詞だが、「衣」を詠われている和歌5首。意味と全文は、尺八演奏家の山戸朋盟氏のHPで解説しているので、本記事では省略する。->八重衣歌詞解説

とにかく難しい曲。「お稽古初めて5年ですう」なんて人が、「やりたい」とか言うと、まっとうな先生だと「10年早い!」と蹴飛ばされる。そりゃそうだよね、昔プロからボイコットされるくらいなんだから。

この録音を演奏しているお二方ともに、現役を退き評価の定まった演奏家。生田・宮城の流れでは、バイブルというか、パイロット・プレイ、目標としての組み合わせ。

三味線と琴のカラミがすさまじい。津軽三味線のような荒々しい速さ、勢いではないが、その動きは繊細でありながら、けして留まらない。圧巻。尺八のない演奏なので、尚、その凄さが際立つ。
九州系の流派の八重衣だと、三味線の凄さが聴きどころらしいが、この演奏では、琴が、(いい意味で)とんでもないことになっている。
専門家に言わせると、この演奏は生田の中でも、「宮城」の特徴がよく出ている弾き方だそうです。

もはや、かなわぬ夢だが、この2人の組み合わせ、ライブで聴いてみたいもんだった。そう、ライブ、演奏会。お座敷で聞きたくはないな。

演奏会で上梓される方への聴くだけの素人からの希望。うちのめしていただきたいと思っております。どうぞよろしく。

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